みぞ!のみぞ知る世界!!

とにかく自由に好きなことについて書いていきます。

...「思い出」アップロード... 2020.7.7

 年を取ると、昔の事を思い出すことが多くある。過去の輝かしい栄光や、挫折。大きな出来事でなくても、友達と公園で遊んだ夏の日、好きな人に意を決して告白したあの瞬間、そんな何気ない瞬間をふと思い出す事があると思う。

その思い出たちは、いつの間にか思い出になっている。気づかぬうちにその何気ない一瞬が。

そんなキラキラとした思い出たちを入れておける宝箱が、作品たち。音楽やドラマである。

今回は、そんな「思い出」というキーワードを中心に、私のお気に入りの曲をいくつか紹介したいと思う。

歌詞の中で「音楽」と「思い出」の関係について語っている曲

まず、音楽というフィクションの中で、音楽自身と思い出について語っている作品を紹介したいと思う。

記事の初めに、音楽を「思い出を入れておける宝箱」と表現したが、これは1曲目に紹介する坂口有望さんの言葉から構想を得たものだ。詳しくは前回の記事でも紹介しているので、参照してほしいのだが、彼女は「歌詞は言葉にできない気持ちを収めておける”引き出し”」と表現しており、これをファンタジックにしたものが、”宝箱”という表現である(こうも自分で解説すると小っ恥ずかしいのだが(笑))

 

mizomone7118.hatenablog.jp

 

さて、ここでは二曲の曲を紹介するのだが、どちらもフィクション中で、フィクションを語る構図になっており、私「みぞ!」が大好きなプロットである...(それはどっちでもいい) 

坂口有望「radio」~いつか私の歌を聴かなくなる日が来ると思うの~

 1曲目に紹介するのがそんな坂口有望さんの2ndアルバム「shiny land」から「radio」

一般的に”アルバム”というものは、曲数がシングルと呼ばれるCDより多く10~12曲であることが多いのだが、一貫したストーリー性が重視されるのも特徴である。

1曲目からテンションを上げる、静かに始め後半にかけてアップテンポな曲に、などストーリー性には様々なパターンがあるが、この曲はそういう意味で異色の味付けをしてくる曲である。

 

radio

radio

  • 坂口 有望
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

いつか私の歌を聴かなくなる日が来ると思うの

時が経てば 恋をすれば 寄り添う音楽も変わる

”異色”と言ったのは、この最初の一節からである。今からこのアルバムを聴こうと再生ボタンを押すと流れてくる最初のフレーズがこれである。たまげた。皆さんたまげないでしょうか?(笑)アルバム最初の曲、最初のフレーズで「聴かなくなる日」を想起させる。まだ聴いてないのに。だが二節目も併せてみると、「確かに...!」と思わせられる。ここで、二番の歌い出しも見てみる。

いつかの青空も 忘れるような日が来ると思うの

時が経てば 恋をすれば 目に留まる景色も変わる

二番では打って変わり「景色」が挙がっているのだが、この構造からして、

「景色」≒「音楽」といった関係にあるのではと考えられる。

だけど私の歌を懐かしむ時が来ると思うの

急ぎ足で過ぎてく日々

いつのまにか忘れていたこと

再び一番の歌詞の続きに戻るが、ここで逆説の「だけど」が出てくる。

聴かなくなる日が来る。だけどきっとまた聴く。懐かしんで聴きたくなる。

もうサビでどんなことを言いたいかはお分かりだろうが、この曲を実際聴いているとサビですごく心が熱くなる。サビの歌詞。

Listen to the radio

あの日から止まっていた涙があふれだすうた

誰かのリクエス

Listen to the radio

この街のあちこちで響いてた

ワンフレーズが

また光って弾けた

一言「めっちゃいい。天才」と言いたくなるサビ。

この曲のタイトルにあるようにラジオがここで出てくる。聴こうと思って聴くことはなくなっていくかもしれない。でも、ラジオなら誰かの「聴きたい」で意図せず、あの思い出が、あの頃の景色、あの時の思い人の事が曲ととともに想起される。

まさに曲が宝箱。宝石があふれ出す。

サビは「Listen to the radio~」のリフレインなのだが、二つ目のサビフレーズは「音楽」自体の輝きについて語られている。「弾ける」というワード。個人的にすごいと思った。懐かしい曲を聴いたとき、「もうそんな曲、時代遅れだよ」と言っていても、すぐにその頃の気持ちにタイムスリップし、その曲の輝きを心の中で弾ける花火のように感じ浸るのだ。

音楽は聴いた人の思い出を、その頃の気持ちを宝石にしてそれをしまっておける宝箱になる。

この曲は、このフレーズで幕を下ろす。

いつか私の歌を聴かなくなる日が来ると思うの

遠い街で褪せることなく

また光って欲しいな

 私はこの曲を音楽の「思い出を収めておける宝箱」として価値を語る曲でもあると読み解いたが、このような見方もできると思う。有望ちゃん自身が、「shiny land」というアルバムを、一時期聴いてスクラップにするのではなく、いつか思い出して聴きたいと思ってほしい。いつまでも自分の曲が誰かの思い出と共にキラキラ光っていてほしい。というアーティストとしての願いが込められた曲でもあるのだと思う。

そういう意味でこの曲は、異色の1曲目でありながら、これ以上なくアーティストの純粋な思いが込められた素敵なスタートナンバーなのだ。

と締めようと思ったのだが、有望ちゃんは私の解釈以上の思いを込めていたようだ...

まだまだ想像力が及ばないようだ...私は....(笑)

私は、自分の歌が聴かれなくなるということを結構ポジティブに捉えていて。先生が生徒に「もう自分が注意せんくていいんやな」と嬉しく思うみたいな感覚。卒業というか。それって素敵なことやと思うんですよ。あと、このアルバムも“今のあなた”に寄り添うものであって、いつかまた聴いたときには全く違う感じ方をするかもしれないよってメッセージを、最初に伝えておくことを大事にしたかったんですよね。

https://www.uta-net.com/interview/2002_sakaguchi_ami_2

 リリース時のインタビューで「radio」について、こう語っている。

この例えというか、表現、私には出なかった。

私なりに言うなら、聴かなくなることでより輝きが増すというようなことだろうか...いや聴かなくなることでその思い出は宝石になりえるのかもしれない。

聴かなくなったことで、何とも思っていなかった石ころが、時を経て宝石に変わる。

そして大人になって聴けば、違う思い出ができ違う見方ができるようになる。

この曲は「聴かない」日々が、音楽やそれに紐づけられた思い出を輝かせる。

そんな事を思わせてくれる作品であった。

AKB48「君はメロディー」~遠い昔の記憶の彼方に 忘れかけてた2人のfavorite song~

一曲目から随分長々と書いてしまったが、次の曲も同じように作品中で、音楽を聴くことで思い出される懐かしい記憶というものを主題にしている。だがこちらはより恋愛の淡い思い出を語っている。

 

君はメロディー

君はメロディー

  • provided courtesy of iTunes

 皆さんご存じAKB48が2016年に発売した43枚目のシングル「君はメロディー」

センターは今やIZ*ONEで活躍されている宮脇咲良さん。ちなみに私の推しである上白石萌音さんの古くからの友人でもある(個人的すぎる情報) 

この楽曲は、10周年記念とした出された作品で、前田敦子さん、大島優子さん等、卒業メンバーもMVに参加しているという何とも豪華な仮面ライダージオウのようなレジェンド客演作品である(分かる人には分かる)

作詞は皆さんご存じ、秋元康大先生。どうしたらこんなに多くの曲の歌詞を短期間に書けるか不思議であるし、そしてなんでこんな乙女ソングを書けるのか全く持って分からない。だがそれがいい

作曲はyou-meこと成瀬英樹さん。私は成瀬さんの曲が好きなのでまた機会があれば紹介しようと思う。

さて前置きがまたまたまた長くなってしまったので本題に。

youtu.be

(MVは蜷川実花さんが担当。彩があって良い...!!)

 

この曲は、すごくざっくり言うと「失恋ソング」

だが、一言に”失恋”と言っても真正面から思いを伝えて敗れたタイプ、思いを伝えられずに友達以上になれなかったタイプなど様々だが、この曲はどちらかというと後者。

主人公は「君」に思いを伝えられなかった。そんな苦い思い出を持っている。

春の魔法に陽射しは変わって 人も街も明るめに着替えた

風に誘われ気づけば知らずに 僕は口ずさんでいた

一節目、情景が思い浮かぶフレーズ。最初に場面設定されると一気に世界観に入れる。場面が限定されすぎない抽象的な世界観の曲だとここで頭が切り替わる(曲によっては日常の一瞬を切り取る曲もある)

今年の春は、コロナウィルスがありなかなか季節感を感じることなく過ぎ去ってしまった印象だが、麗らかな春の気候と、様々な事の「始まり」という意味でも、心機一転する。それを「明るめに着替えた」と表現するの良い...(春服も明るめだし、気分も明るくなるという意味でよく考えられているな...!!)

主人公にとっては、春になると思い出す曲があるみたい...

遠い昔の記憶の彼方に 忘れかけてた2人の favoriite song

なぜこの曲が浮かんだのだろう?突然に

思い出すのは遠い昔に誰かと二人で聴いてたお気に入りの歌。

おそらく相手は「君」なんだろう。(二人のお気に入りの歌って良いですよね~)

愛しさは いつも ずっと前から 準備してる

ノイズだらけのRadioが聴こえて来たんだ 歳月を超え

愛しさは常に心の中にある。遠い昔から。それが曲を聴いて呼び起こされた。

「ノイズだらけのRadio」とあるが、これは先ほどの曲と違い、比喩ではないだろうか。遠い昔の記憶。ずっと忘れていた、いや忘れようと封印していた記憶が徐々におぼろげながら、再現されていく様子が表されてるのではないだろうか。

「歳月を超え」というのも、少し大げさに感じるかもしれないが、それほど実感として遠いということ表しているとも取れる。

そしてサビに入る。

君はメロディー メロディー

懐かしいハーモニー ハーモニー

好きだよと言えず抑えていた胸の痛み

僕のメロディー 僕のメロディー

サビだけを覚えてる

若さは切なく 輝いた日々が蘇るよ

「僕」と「君」とのfavorite songは、「僕」にとっては「君」なのだ。

そしてそれは、「僕」自身の淡い記憶でもある。

そんな風に読み取れるサビ。

そのメロディーを聴くだけで、「君」を思い出す。非常に胸が熱くなる。

愛しい相手との思い出が宝石となって、ずっとその曲にはあった。

2人の関係が分からないから何とも言えないが、「輝いた日々」とあるから、

2人で遊んだ記憶、愛しく思っていた気持ちがそれに当たるのではないか。

一番はここで終わるのだが、この曲は二番以降、なぜ主人公である「僕」はここまで感傷的なのか、今の「僕」にとって「2人のfavorite song」はどういう存在なのかが見えてくる。

 

君と歩いたセンター街から 通りに抜ける青春に迷って

知らないうちに大人になってた 歌を聴くことなく

センター街でデートしてたのだろうか。なんだかすごくキュンとする。私にそのような経験がないから余計にそう感じる(笑)

 ここの表現、私自身もなかなか解釈が悩ましいのだが、おそらく、センター街から通りに抜けることが出来なかった。渋谷を想像すれば、人波に押され道に迷ってしまったかのようなイメージではないかと私は思う。つまり、2人の関係はどこかですれちがってしまった。「僕」には苦い記憶だということの言いかえということになる。

そして、そのまま気づいたら大人になっていた。

何を忘れてしまったのだろう? 新しいものばかりを探して

今の自分に問いかけるような あのMusic

知らぬ間に大人になっていたとあるように、「君」と別れてから呆然と過ごし、人生に迷うようになった。

そんな時にあの「favorite song」=「Music」を聴いた。

偶然はいつも教えてくれる 意味があると

思いがけない未来 眠ってた恋が目を覚ます

この「偶然」というのは1番の歌詞「なぜこの曲が浮かんだのだろう?突然に」とほぼ同義であると考えられる。つまり、迷える子羊と化した今の自分には、苦く思い出したくないはずの思い出が必要なのだ。意味があったのだ。思いがけず訪れたこの未来に、過去の恋が味方する。

甘いメモリーモリー

夢を見たグローリーデイズ グローリーデイズ

サヨナラに込めた永遠こそ僕の誓い

ふいにメモリーモリー

面影も鮮やかに 無意識にそっと

口ずさむ僕は今でもまだ

二番のサビ。ここで苦い思い出、「君」との恋について回顧し味わう。

振り返るように 君も思い出すだろうか?

あの頃 いつも流れた ヒットソング

ここで「君」へ思いを馳せる。そしてラスサビへ。

 

君はメロディー メロディー

懐かしいハーモニー ハーモニー

好きだよと言えず抑えていた胸の痛み

僕のメロディー 僕のメロディー

サビだけを覚えてる

ほろ苦い感情が 溢れ出す今も

1番サビとほぼ同じ歌詞ではあるが、「ほろ苦い感情」を肯定していることが分かる。

思いが伝えられなかったそのもどかしさすら、時が経てば、大切な宝石になる。宝物になる。

こんなメロディー メロディー

きっとどこかで  君だって

口ずさむだろう

思い出は時にはやさしい

口ずさむだろう いつの日にかあの頃のメロディー

そして この歌詞で締めくくられる。「僕」はなんだか清々しい、何か吹っ切れたような表情を見せてるような感じが私はする。

最後の歌詞「口ずさむだろう いつの日にかあの頃のメロディー」というところから、「君」との苦い思い出が昇華されて、かげなえのない心強い味方になったことが分かる。

さて、なんだかんだ、歌詞を全て追いながら読み解いてしまったがいかがでしょうか。

この曲からは、思い出は必ずしもプラスのものだけでなく、マイナスなものもありそれも宝石になり得るということを伝えていると思う。歌を聴かない期間を経ることで、何ともない記憶が思い出になり得ると前述したが、嫌な思い出も心強い思い出になることもあるのだ。

 

次回は、フィクションの中で語られる「音楽」と「思い出」についてから離れ、単純に「思い出」について曲中で語っているお気に入りの曲について見ていきたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき・・・ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!! 前回のブログすごく好評をいただいてとてつもなく嬉しかったです!!私はもともと歌を聴いて、歌詞とか解釈するのが好きなのですが、文字に起こすとなるとなかなか大変ですね。省略してもいいのかもしれないけど、ワンフレーズだけでなく全部で一つのストーリーとして良い!!と思う曲にはどうしても全部書きたくなってしまってこんな感じになってしまいました(笑) 書こうと思ったら細々書けない人なので、一気に書くのですが結構時間かかってしまいました。今後、うまくまとめられるよう精進したいと思います...今回は前回のブログでいろいろ述べた、音楽の価値の一つ「思い出を記憶する」というところに焦点を当てて、お気に入りの曲と共に紹介しました。思いのほか、長くなりまさかの二部構成に!!(笑) 次回も見てくださると嬉しい!!コメントくれたらなお嬉しい!!!!ということで!!

したっけ~!!!

【みぞのfavorite songs】

1.坂口有望「radio」

2.AKB48「君はメロディー」