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モネと花枝...OPや衣装に見た「色」...ラブコメパロ!?『ファイトソング』レビュー後編 2022.3.29

ドラマ『ファイトソング』について書いていたら、長くなってしまったので、前後編に急遽分けた。だが、今回は後編というより、オマケのようなものだ。前編の記事を読んでいない方がいれば、まずは前編を読んで欲しい。

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毎週楽しかったドラマ内の小さな演出

このドラマ、もちろん本筋のお話が、丁寧かつポップな仕上がりで素敵なのだが、その他の小さな演出にも「ニヤッ」とさせられるものが多かった。まずは、花枝(清原果耶)たちの親代わりの直美(稲森いずみ)が話す「ラブコメあるある」だ。

各話、必ずといってもいいくらいに直美、迫(戸次重幸)、そして凛(藤原さくら)、慎吾(菊池風磨)、花枝の井戸端会議のシーンがあった。そこでは、前編で紹介したような「心が動く」にまつわるあの言葉など深い話もあるのだが、その中には、TBSの火曜ドラマを観てる人にとってメタ的でパロディな面白い話もあった。

第3話では直美が花枝と芦田の、恋の「取り組み」に対して、「ラブコメっぽい」と言っていたり、第5話に至っては、今後の展開を具体的な「ラブコメっぽい」エピソードで予想していた。

やっぱ最後は武道館。芦田さんのライブ。花枝は客席にいない。本当の恋じゃない訳だから。曲が出来た時点で役目は終わってる。その時、花枝は慎吾と一緒にいる。そこで慎吾は「ずっと好きだったんだ。俺じゃダメか」って本気で告白する。花枝もほだされて「これもありか」と一瞬思うけど、振り切って芦田さんのもとに行く。

また、第10話では久しぶりに再会した芦田(間宮祥太朗)と花枝が慎吾と共にエレベーターに閉じ込められたという話を聞き、

「男と女がエレベーターに閉じ込められれてるってあるっちゃある。ラブコメでね、まぁあるかなって感じなんだけど普通二人だよね。最初は喧嘩してるんだけどだんだん...皆が外で心配してる中ドアが開いたら中の2人はチューしていました。」

と、とっっっても嬉しそうに話して(語って)いた。これに脚本家の深い意図があるかどうかは分からないが、いつもの「ラブコメとは違うぞ」という気概の表れにも取れるし、花枝や凛、慎吾のように複雑で特殊な人間関係を持っている人でも恋はできる、ラブコメの形は一つじゃないと象徴している言葉とも考えられたりして、面白い演出だった。(実際、私は「エレベーターで閉じ込めは最終回でやることじゃないだろ!!(笑)」と一人で盛り上がっていた。直美と気が合うようだ)

(「エレベーターに2人が閉じ込められる」ってシチュエーションで思い浮かぶのは、花男第4話のつくしと道明寺。あれは王道。)

次に、ワクワクした演出といえば、OPだろう。OPで流れる劇伴(BGMやサントラのこと)が「ファイトソング」だと最終回で判明したのだが、あの曲のバックで徒競走をする花枝、芦田、慎吾の様子がOPで少しずつ流れ、とても可愛かった。またOPの徒競走のレーン兼譜面の色が第6話以降は、オレンジから水色に変わっていた。そう、このドラマにおいて「色」はまた一つこだわりポイントだと思うのだ。

ファイトソング -3・3・7-

ファイトソング -3・3・7-

  • provided courtesy of iTunes

その「色」が特に印象的だったのは、花枝の着ている服だ。花枝が着ている私服は、原色に近い服が多かった。初デートの中華街の時は、オレンジのコートで「花枝ちゃん...マジか...!!」と度肝を抜かれたものだ...

OPと同じように、第1話~第5話では暖色(オレンジ,ピンク,赤)、第6話~最終話までは寒色(水色,緑)と着ている服の色系統が大きく変わっている。

これも、花枝の「明るい」「強い」が前面に出ていた前半を暖色で、自分の辛さを打ち明けて花枝の内面に迫っていく後半を寒色で表しているのかな...とか妄想していたのだが、どうやらスタイリストのアイデアだったようだ。

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(考えすぎではあったが、スタイリストの方の意図に気づけたのは嬉しい。スタイリストのプロ意識に感服するインタビューなので是非。ちなみに、最終話、凛が慎吾に告白するシーンで、凛のスカートが慎吾のカラー黄色だったのは偶然?)

他には細かいところだが、毎話「いいところ」で終わって、次週「いいところ」で始まる構成も個人的には斬新だった。

「斬新?そうか?」と言われそう...

確かに「いいところ」で終わるのは、ドラマの常とう手段だが、このドラマでは次の週、先週のダイジェスト(振り返り)を挟まず、いきなり続きを展開していた。

近年のドラマは少しでもどこからでも見てもらえるよう「1話完結」「2話完結」「振り返りをしっかりする」といったドラマが多い印象だったが、その流れを断ち切るかのように、毎週視聴して欲しいという気概を感じて、観ている方も物語に入り込みやすかった。

(同クールドラマでは『ミステリと言う勿かれ』も縦軸(週をまたいで話が続く)重視であった。私は個人的にこういうドラマが好きだ。観るモチベーションが高まる)

個人的名シーン

次に関しては完全におまけだ。私が選ぶ個人的に好きだったシーンをいくつか挙げる。(3つに絞ろうとしたが、無理だったので話数が若い順に!!(笑))

・第2話 凛が慎吾の顔剃りをするシーン

凛が慎吾への恋心を隠しながら雑に扱う、凛いわく...慎吾に対する態度は逆だから...「優しく顔剃りしてあげる」シーンで、最終回のあの展開を見てからだと余計に尊い...

・第4話 横浜デートでムササビの喋るぬいぐるみを買って貰った花枝が家で「花枝ちゃん?」と復唱させて「かーわいいな~」ってするところ。&ムササビを購入する時の芦田の「すみません。このムササビをください。」

どっちもかわいい。花枝らしい喜び方で、体育会系なのに意外とぬいぐるみが好きというギャップに魅かれた。芦田は芦田らしさが一番出てたシュールな一言だったと思う。

・第5話 別れの前最後の『スタートライン』

花枝の「最後に約束果たしてもらいます」からの流れ全部がこう言ってしまえばあれだが「このドラマ一番のシーン」私的ベストシーン。”約束をすぐに思い出せない芦田”と”前回のバラードverを「なんか違った」と笑いながら言う花枝”、それぞれを「割とそういうとこあるよね」と言い合うシーンは完全にLOVE。

その後、屋上で『スタートライン』を弾き語る芦田。そしてそれに合わせてはしゃぐ花枝の様子は、往年のトレンディドラマを思わせるノスタルジーを感じた。ここの『スタートライン』は泣いた。

(私にはロンバケのキムタクと山口智子に見えた...いや間違いなく令和のロンバケ...) 

・第6話 芦田が一人でジェットコースターに乗っているのを、ベンチに座って見ながら、音だけで一緒に乗ってるのを想像する花枝

花枝にとって一つの節目になる第6話。耳鳴りが酷くなって一緒に乗れなかった虚しさよりも、今、聞こえている「音」を大事にしようとしている花枝が素敵だった。

・第7話 鍋パーティの後、一緒に線路沿いを歩く花枝と芦田。

地味にMVPシーン。「好き同士ならただ歩いてるだけで幸せ」というのが、ダイレクトに伝わる名シーン。二人の雰囲気を伝えるためか劇伴オフの映画のような描写になっているのもgood。どこか「最後の幸せ」感を漂わせているのも味。

・最終話 凛が慎吾に思いを告げるシーン

泣いた。正直、花枝と芦田ベストシーンは最終話よりも第5話の『スタートライン』、それ故に最終回で泣かされたのは凛と慎吾のこのシーンだった。藤原さくら主演のドラマだったかと錯覚するほどあまりにも美しいシーンだった。

あまり語るとまた長くなるので控えめにしたいが、作中で”萩原凛”というキャラはとても魅力的なキャラクターだと思っている。

花枝の良き相談相手であり、慎吾の良き相談相手でもあったが、同時に凛自身も慎吾や花枝と同じ苦しみを持っていた。誰が強いとかそんな話はすべきじゃないが、あえて言うならば凛が物語最後まで一人で踏ん張っていた人だったのかなと思う。それ故にようやく慎吾に受け止めて貰えて、感動もひとしおだった。

「世界一はお前だよ。私が慎吾にずっと恋してる事に全く気づかないからだよ」

「”えっ”じゃねえよ。バーカ。私の”バーカ”は大好きって意味なんだよ。バーカ」

「悪いけど決めたから私。私に恋させてやる。分かったか!」

花枝と芦田の恋の「取り組み」がなければ実らなかった恋かもしれない。凛の心も知らず知らず動かしていたと考えるとさらに深みが増す...これを”ツンデレ”と表してしまうのはもったいない気もするが、バーカが大好きって何だそりゃ!!(ごちそうさまです

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(歌手としての藤原さくらも好きな私としてはやはり今回の凛。素敵だった。第5話で告白をためらう慎吾に言った「あるもん壊さないと先になんか進めない」「だけどとかいらん!死ぬ気で行け!骨は拾ってやる」がお気に入りの台詞)

『おかえりモネ』と『ファイトソング』と清原果耶

最後に話しておかなければいけないのが、このドラマと『おかえりモネ』の類似性についてだ。前編の書き出しで、『おかえりモネ』の名前は出していたのだが、ここで少しだけ話したい。

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(朝ドラ『おかえりモネ』について知らない人はこちらをチェック。もれなく筆者の狂った”おかモネ”愛を垣間見ることができる)

このドラマを観ようと思ったのは、前編冒頭でも話した通り『おかえりモネ』という作品に至極共感し、感動した(というより救われた)からだ。そして作品と同期して清原果耶という俳優にも惚れた。

だからこそ、最初は制作陣の方に失礼なのだが『おかえりモネ』の延長としてこのブログを書こうと思っていたのだが、それはこの作品に関わった全ての方々の熱意。この作品のことだけでこんなにも「心が動いた」

だから、『おかえりモネ』と『ファイトソング』比較して見なくても2つとも素敵な作品であることは間違いないのだが、最後に与太話として語らせて欲しい。

(当初はこんな感じだったのに...ちゃんと『ファイトソング』として好きになれたのは嬉しかった)

まず、この物語も『おかえりモネ』(以下”モネ”)と同じく”痛み”を抱えた女性が主人公で、それがこの作品のテーマの一つでもあった。痛みであり「不条理」、作中ではほとんど名言されなかったが、「家族の喪失」「聴覚障害を患う」という二つの出来事に必死に向き合い、勝とうとする花枝の姿が印象的だった。

モネとは”痛み”の種類も、主人公のキャラクター像も正反対だったが、2人ともどこか一人でその痛みを抱え、モネなら「役に立つ」花枝なら「勝つ」という生きる事に対して何か”意味”を見出そうとしていた、人生における意味に拘っていたという点で、最終回を終え、なんだか似ている部分があると感じた。

そして、その”意味”からの解放。モネ作中の言葉を借りるなら、「人は傷つく必要なんてない。どんな人もいるだけでいい。そこにいるだけで」という考えに自分自身で至った点でも、同じような道筋を感じた。

また、その道筋の途中にパートナーがいた点も重なって見えた。菅波という、芦田という寄り添ってくれ、一歩踏み込んできてくれる人物との出会い。

第7話で芦田含めて、鍋パーティーをした時に、凛や慎吾もいる場で、芦田が「なんかいいですね。何でも言い合える関係って」と言っていたが、これは幼馴染と相対した時の菅波だった(菅波に見えた)

花枝が目を背けていた自分の本音、モネが自分自身で縛り付けていたありのままの自分を、見つけてほどいてくれた人物が芦田であり、菅波なのだ。

「”ここが痛い”って口に出させてあげる事は本人の心を軽くします」

かつて菅波がモネに伝えたこの言葉が放送中、頭によぎった。

それは、耳の事を「それを言えば壊れてしまう」と言い出せない花枝に対して、「分かった。でも話したくなったらいつでも話していいよ」と声をかけた葉子(石田ひかり)のように、「話す」事、「聞く」事の大切さを描いていた点においてだ。

「話す」事、「聞く」事という意味では、今作はモネとは違う”深い”視点からの話もあったかもしれない。実際に「耳が聴こえなくなった」花枝がどうそれを実践するのか。

その結果として「負けた。会いたい。会いたい。甘えたい。泣きたい。会いたい。待ってる。大好き。じゃあ」というように、「ありのままに思いを伝える」尊さが際立っており、「話す」「伝える」というのは何も「音声」や「複雑な言葉」が必要な訳じゃないという点まで、表されていた。

要素的な面で言えば、「音楽」も共通していた点だろう。モネも花枝も心の拠り所に音楽をもっていた。そういう意味で音楽はやはり、その人の”心の鏡”のようなものとして私たちの心にあるのだと改めて感じた。

と、ここまで『おかえりモネ』との共通点を話してきたが、それでも『ファイトソング』という別の物語として層をもって世界観が紡がれたのは、間違いなく清原果耶の演技力だった。それを象徴したのが、”涙”だ。

第1話で芦田が演奏した『スタートライン』に花枝が涙するところがあったが、あれはモネの涙とは違った。モネは心から自然と滴るような涙だったが、花枝は、せき止めていた思いが氾濫して一時的に洪水を起こしたようなそんな涙だった。

この涙という点で、似たようなテーマを持つ物語に明確な違いを出したのは「さすが」の一言だ。

また、抱擁された時の目の演技。あれはモネの時からだが、”最強”だと思う。

「自分の心を開放してもいいのか?」「自分の気持ちに正直になってもいいのか?」

という心の動きを見事に表現していて心打たれる演技だった。

同じく火曜ドラマの『プロミスシンデレラ』の二階堂ふみ、そして日テレ水曜ドラマ『恋です』の杉咲花もだが、”ラブコメに縁がなかった実力派女優”がラブコメに出るという深み、爆発力はすごいなとも感じた。

(モネの「お目目パチパチ」キョトン顔も好きだったが、花枝の「は??」「うん??」という強めのキレ顔も悪くなかった...) 

 

という事で、つい長くなってしまったが、これで『ファイトソング』のレビューは終わり。また素晴らしいドラマに出会えて本当に良かった。

TBS系火曜ドラマは、”キュン”という点から、様々な点に線を伸ばして多様な世界を描いてくれるが、次はどんな世界に出会えるのか。楽しみだ。

 

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