「解散」は偶然とのサヨナラ 2021.10.17
来たる11月1日。アイドルグループ「V6」が解散する。
以前、解散報道が出た際は、とても驚いた。結局それは偽りの情報で、活動は続けられたのだが、今回は本当に解散ということらしい。
私は特段、ジャニーズが好きという訳ではないが、以前も記事にしたように、子供の頃は皆がテレビを観ていて、皆が同じ音楽に触れていた。そんな世界だった。
そして私もその世界にいた。
特に私自身が、テレビっ子という事もあり、その影響は多大だった。
そんなテレビから流れていた音楽の一つにジャニーズの音楽があった。
そのため、今回の「解散」も何も他人事ではない。
「解散」
その言葉が意味するのは、単純に「グループが無くなる」という事以外にも、「その音楽の歌い手がいなくなる」事も意味する。
音楽は、なくならないし永遠に残る。
だが、その歌い手が「歌う」という事をしなくなれば、その音楽が一つ形を変えるという事ではある。
今なら、CDもあれば、それこそサブスクリプションのサービスで聞けたり、音楽は保存され半永久的に、生き続ける。
それは「私たちはいなくなっても、音楽はあなたの心の中で永遠です!!」的な、そういううやつでもなく、技術革新がもたらしてくれた音楽の延命だ。
だが、「その時」、「その人が」、「歌う」。
それは「解散」すればもう二度とない。
「それってそんなに大事?」
と感じる人もいると思う。それを望むのはファンぐらいなのではないかと。
だが、私はそうではないと思う。
そのアーティストが歌わなくなれば、音楽番組で「あ!久しぶりじゃん!V6!!今日はなんか懐かしい曲歌うんかな~?」と口に出る事もない。
ファンではないけど、「その曲は好きだ」という人がおそらく沢山いる。
そんな人の心からは、その存在は徐々に消えていってしまう。
そう。そのアーティストが、その時、歌わなくなれば、その存在は狭く薄くなってゆく。その曲自体に触れる機会が失われるのだ。
実際、V6には『TAKE ME HIGHER』という曲があるが、この曲は、音楽番組で歌われると毎回、Twitterのトレンド入りを果たしていた。
この曲は、メンバーの長野博が務めた特撮ドラマ『ウルトラマンティガ』の主題歌であった。この曲が番組で流れて、当時の特撮ファンがその曲に盛り上がる。そんな光景が、印象的だった。
そんな出来事が少なくなっていくという訳だ。
(小学生の頃、昼休み後の掃除の時間に流れていた。テンション上げ上げでほうきを
振っていたことを思い出す)
過去にはあまり良くない幕切れがあった。
国民的アイドルグループと言われた「SMAP」
彼らが「解散」した後、いや。する前、私はすぐにベストアルバムを買った。
なぜなら、彼らの音楽を覚えておきたかったから。
もう、ふと音楽番組で「あ!この曲好きなんだよ~!!歌ってくれるの嬉しい!!」
と言う事もない。そうやって曲に思いを積み重ねてきた私からすれば、「解散」は、その音楽が私の中で「バイバイ」と言おうとしてるのと同義だ。
(ちなみに『愛なんだ』の歌詞がとても私は好きだ。
「とにかく愛なんです!!愛なんだ!!全部愛!!愛!!最高!!」
という感じなのが良い。これほど振り切った歌詞だと、逆に乗り切れない場合もあるが、玉置浩二が織りなす自由に溢れるメロディーが調和を取り、とてつもなく心地よく、エネルギーを充填できる一曲になっていると思う。)
バンドサウンドとボーカル長瀬の作詞作曲センスが光った「TOKIO」
彼らは明確な「解散」ではなかったが、それこそ私が言う意味での「解散」に一番近いかもしれない。
1人のメンバーが脱退することになり、「彼が抜けるのなら音楽活動をしない」と演奏されることはなくなった。
TOKIOは、私のイメージでは気さくにどんな番組でも演奏をしてくれるグループのイメージで、突如鳴り止んだその衝撃はとにかく大きかった。
(TOKIOやSMAPの曲を入れるべきなのだろうが、V6の曲を入れざるを得ない。だって良いのだから。『Darling』は、言葉遊びが本当に楽しい。”いい just night"が「いいんじゃない」、”what 感 eye”が「分かんない」、”knight 病んで”が「悩んで」に聞こえるといった具合に、文字を当ててる感がとても感じられてそれが良い。今は皆「カッコ悪い」と言いそうだが...それでも良い。)
10年程前、AKB48がブレイクし始めの頃は、よく「口パク疑惑」が世間を揺るがせた。
「口パクなら別にあの人たちが歌わなくてもいい」
そんな声も聞こえた。
だが、私はそうではないと思う。彼ら彼女らが歌うからその歌は生まれる。生まれた。
そして、そんな彼らがいなくなれば、その曲たちは一つの区切りをつけ生まれ変わる。
だから、その曲の価値を決めるのは、歌の上手さではないのだ。”彼らが””彼女たちが”歌うから、その曲なのだ。
音楽が情報と一緒に大量に流れる現代で、「解散」は音楽と一度「バイバイ」する事なのだと思える人はどれだけいるだろう。
大量に流れる音楽の中で、大事になるのは、その音楽に触れる「きっかけ」
そんな「きっかけ」が「解散」という出来事で、絶えてしまう。
だが、彼らが「解散」を決めたのだ。
「きっかけ」がなくとも、いつでもその音楽が鳴らせるように、彼らと共に音楽をしっかり覚えていたい。
(解散前に、良い曲に出会ってしまう...”あの時代”の曲って感じで良い...)
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