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報道気象で知る「伝える」難しさ『おかえりモネ』百音が直面する「誰に?」「どのように?」2021.8.6

第10週「気象予報は誰のため?」から、舞台を東京に移した朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』

 

気象への興味から始まり「気象予報士」を目指すことになったモネ(清原果耶)の物語も、見事気象予報士資格を取得したことで、折り返し地点に来た。

 

さて、第10週からの舞台。東京。

いきなり「上京して大丈夫か...?」という視聴者の不安をよそに、祖父の知り合いの紹介で銭湯をリノベーションしたシェアハウスに住むことが決まり、気象に興味を持つきっかけとなった朝岡(西島秀俊)が勤め、モネが上京した理由でもあった会社”ウェザーエキスパーツ”にも採用が決まり、順調な滑り出し。

銭湯のオーナーである菜津(マイコ)、そしてウェザーエキスパーツの面々と、東京での新しい出会いもモネの新生活を後押しする。

 

 

また、多くの視聴者が驚いたのが物語の「スピード感の変化」であろう。第10週はモネが東京へ来た初日、その1日が1週間かけて描かれている。

上京初日、下見のために会社を訪れたが、登米に以前来ていた気象予報士の野坂(森田望智)と内田(清水尋也)と再会。採用前であるのにも関わらず、「人手が足らないから」とテレビ局に連れていかれ、報道気象の現場に放り込まれる始末。なんとかやり過ごし、一日を終えるのかと思いきや、深夜に呼び出されインフルエンザのため出れない夜番の人の代わりで、朝の番組にも付き合うという...

まさに、これまで働いていた森林組合とは全く違うスピード感と、その濃密な描写に視聴者も「上京したんだ...」とモネと同期した気分になったであろう。

 

朝岡は以前、登米でモネに、「大切なものを守る時間」を作る大切さを説いた。

臨時のニュースが飛び込み天気予報のコーナー自体が無くなったり、時間が短縮されるなどする、東京でも特に時間の流れが速いテレビ局を目の当たりにすると、そんな”時間”の大切さが記憶と共に説得力を増してくる。

朝岡から聞いたそういった言葉も、東京での濃密なモネの1日を見ていると、体感型アトラクションのように効いてくる。

 

mizomone7118.hatenablog.jp

 

そんな長い長い初日に、モネがコサメちゃんと傘イルカくんというキャラクターをパペットを操る事で演じるという大仕事(?)を為した事で、モネは正式に報道気象班で働くことになった。

仕事を始めたモネが、直面したのは、情報を「伝える」事の難しさだった。

 

 

第10週「気象予報は誰のため?」では、「誰に」伝えるべきかにモネは直面する。

内田が気象庁の発表より早く、東北地方での暴風を予測し、モネも地元の人間として「伝えるべきだ」と朝岡に伝えた。その後、朝岡たちは内容の変更を提案するのだが、不確定な情報である上に、より多くの人へ影響を与える黄砂の情報の方が大事だと、番組の責任者である高村(高岡早紀)に一蹴されてしまう。

最終的には朝岡の判断で、若手天気予報士の神野(今田美桜)のコーナーで彼女が”体感として”風の情報を伝えることで何とか、暴風の情報を伝えることができた。

 

モネが気象予報士を目指したのは、震災の時守れなかった「自分の大切な人を守る」ためだ。その思いはとても強い。

だが、実際、報道の現場では「不特定多数の人」を守るのか、「自分の大切な人」を守るのか、その葛藤が常にあり、それと闘う必要がある。

時に、「誰に」伝えるべきかを選ばなければならない。そんなシビアな状況があることもモネは肌で体感した。

また、”不確定な情報は出せない”というように、助ける術を持っていても、それを使えない事もある。

そのために「伝える」方法を何とか工夫しなければならないのだ。

そんな「どのように」伝えるかをモネに考えさせたのが翌週、第11週「相手を知れば怖くない」だ。

 

 

第11週「相手を知れば怖くない」では、開通したばかりのアンダーパス(交差道路の下に設けられた道路のこと)が、これまでに観測したことのない短時間の大雨により冠水したというニュースが報道気象班の元に届く。幸いにも、けが人や死亡者はなかったが、その出来事以降、これまで、森林組合での経験を生かした自然の「楽しさ」を伝える企画を提案していたモネが一転、自然の怖さや危険性を伝える事に必死になってしまった。

 

朝岡は、そんなモネに「里帰りした時に、子供を海に連れて行きたかったが、海は怖いと聞いて、海水浴に行きたがらない。両親(祖父母)が残念がっていた。海の怖さを伝える大切さは分かるが、身近に海に触れる機会が少ない子供たちには海の楽しさや豊かさを伝えて欲しい。」という視聴者であるある母親の声をモネに届け、

 

「人は分からないものを怖がります。でも逆によく知ってさえいれば、たとえ牙を向けられたとしても、傷つけられないように距離を置くことが出来る。相手を知るという事は恐怖と被害を遠ざけます」

「最初から怖いと思ってしまっては、近づき知る機会さえ奪われる。

そしてその結果に、得体の知れない恐怖と戦わざるを得なくなり間違った対処をする」

 

とアドバイスをする。

モネは、「自分の大切な人を守る」「役に立つ」存在を目指す以上に、「大切な人を守れない」「大切な人を失う」事に恐怖している。

それ故に、危険性を知らせる事ばかりに終始してしまっていた。

だが、それは、危険性をしっかりと認識できないままに、人々を余計に恐怖させてしまう事にもなりかねない。

朝岡は、ここでもモネが、経験した「恐怖」に理解を示した上で、それを「伝える」にはどうすればいいのかをモネに、報道気象に携わる先輩として教授したのだ。

 

 

このように第10週と第11週では実際に報道気象に関わる中で、朝岡を通じて間接的に触れてきた「気象予報士」の全体像が明らかにされると共に、「伝える」ことの難しさ

が描かれた。

だが、この2週で描かれたのはこれだけではない。

今日放送を終えた第12週「あなたのおかげで」を含めた、3週は、震災のあの日からモネの心にずっとある「役に立ちたい」という思い、そしてあの日背負うことになった心の荷物を可視化し、モネに突きつけたのだ。

気仙沼登米にいる時には、見えなかった気づかなかった隠していたそんなモネのパーソナルな部分。次回の記事では、第12週を中心に見ていきたいと思う。

 

 【過去記事】

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