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未知とカキ、そして百音と天気『おかえりモネ』モネの視界を照らした「繋がり」という光 2021.6.14

主人公の永浦百音(清原果耶)、愛称”モネ”が気仙沼登米といった、海や山の中で、「天気予報」という魔法に導かれていく物語。連続テレビ小説『おかえりモネ』

第3週「故郷の海へ」では、地元の幼馴染との久しぶりのやり取りが描かれる中、モネが「役に立つ」事に拘る理由が、2011年の3月11日の回想と共に描かれた。

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その第3週とは打って変わって、第4週は「みーちゃんとカキ」と題された。

「~とーー」というタイトルからは、生田斗真主演で、モネを演じる清原も出演していた2019年放送の『俺の話は長い』が思い出される。そのイメージから「今週は、息抜き回なのだろうか」とも思っていたが、その予想は良い意味で裏切られた。

 

夏休みの自由研究としてカキの地場採苗に取り組む未知(蒔田彩珠)。そして、第3週で、寺を継ぐか悩んでいる様子が描かれていた三生(前田航基)は、結局永浦家にしばらく居候する事になり、モネの祖父、龍己(藤竜也)のカキの養殖作業の手伝いを半ば強引させられることに。

「みーちゃんとカキ」

そのタイトルの通り、今週の物語の中心にあったのは、未知の夏休みの自由研究である地場採苗。

”種ガキ”やら、”浮遊幼生”やら聞き馴染みのない言葉が、未知と龍己との間で交わされ、筆者も、モネや三生のように「???」という顔になったが、その取り組みの専門性と未知の真剣な眼差しから、未知の本意気が伝わってきた。

 

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未知の意見を尊重し、未知の研究を見守っていた龍己。だが、ある日、カキの原盤を引き上げるタイミングで意見が食い違い、言い争いになる。研究に関する判断は彼女に任せていたが、長年の勘が「ダメだ」と言ったのだろう、未知を思っての行動だった。

結果的に、龍己の予測が当たり荒天に見舞われたたため、船を急いで出し原盤を引き上げることになった。龍己は滅多に出ない夜、しかも荒天の海に出たことで、軽いけがをしてしまう。

 

その後の、家族の会話のシーン。第4週の見どころはここであった。

龍己や父、耕治(内野聖陽)に「子ども相手に~」「たかが高校生の自由研究」と言われ、思わず言い返す未知。

実際、悪天候におけるリスクを鑑みた龍己の判断が正しく、結果、未知は龍己を危険に晒すことになったため、そう言われても仕方がないが、それをもって全てを「子供の遊び」と言われたくはなかったのだろう。

 それに対して龍己や耕治は、費用面など現実的に不可能な事をしっかりと説明する。

その上で、「未知の夢にまで手が回らない」と諭した。

だが、それでも未知は反論した。

「さすが銀行員。お父さんにとっては返済が正義だもんね!!」と皮肉めいた言葉で。

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この一連のやり取りを台所から見ていたモネ。節々にモネの姿が差し込まれるのだが、ここの清原の表情。清原の演技力が光った。

簡単に形容すれば、「驚いた表情」なのだが、この表情には色々な感情が含まれていた。

未知と龍己の思いのぶつかりあい。それを見て、どちらも人を漁業を思っての事なのに、なぜぶつかってしまうの?という困惑が混じった驚き。

また、「役に立つ」事を見つけ、努力を順調に重ねているとずっと思っていた未知にも、様々な渦巻く思いがあった事に対する驚き。

色んな驚きが見えた。

 

これまで、未知はモネにとってのある種「目標」として描かれていた。

「地元の漁業の未来を守るため日々努力する妹」

自分の見つけられない「役に立つ」方法を見つけ、邁進している。

そんな妹に、モネは姉として誇らしく思うと共に、焦りも感じていたのではないだろうか。だが、実際は、違った。

未知もモネと同じように、どうすれば「役に立てるのか」

そう、2011年3月11日のあの日。津波を前に何もできなかった自分を悔やみ、考えてきたのだ。

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「役に立つ」とは、ある意味、エゴの塊なのだ。

「人の役に立つ」

それは何者でもない自分が、何者かになれる方法でもあるのだ。

それ故、他者との対話なしに、自分自身で背負い込み突き進んでしまうことも少なくない。今回の未知もきっとそうだ。

本当の意味で「役に立つ」とは何か、それは周りの人たちとの繋がりの中でしか確認できない。だから、龍己や耕治との言い争いも、未知にとっては通過儀礼だったのだと思う。独りよがりのヒーローにならずに済んだ。

 

通過儀礼であったのは、モネも同じだ。

「みーちゃんとカキ」が、百音のずっと雲に覆われていた「天気予報」に対する煮え切らなさに光をもたらしてくれた。

そういう意味で第4週は「みーちゃんとカキ」でもあり「モネと天気」でもあったのだと思う。

未知と家族のぶつかりあい、「役に立つ」方法が明確じゃない自分には何も言えない。けど、何もしないのは嫌だ。そう思って、父から貰った笛を思い切り吹いた。

それは未知が謝るきっかけになった。「役に立ちたい」というモネの思いを強くなった瞬間だった。

そして、地元でのやり取りで垣間見えた天気、そして木材。それが、龍己やサヤカ(夏木マリ)や朝岡(西島秀俊)が説いた、「山も海も空も全部繋がってる」をモネに体感させることになり、モネは「天気予報でなら役に立てる」とようやく確信を持てた。

 

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笛を吹いた後、自室で月に照らされながら空を見るモネの目には涙があった。

「役に立ちたい」と思いながら、未知たちと違い、具体的な方法を持たず、意見を言えない自分への悔しさ。

その翌日、龍己に、「天気を勉強したら皆の役に立つかな」と聞いたモネは

「将来、モネちゃんが天気読めるようになって、俺が一発勝負かける時はあんたに相談する」と龍己に言われ、視界が晴れた清々しい笑顔を見せてくれた。

 

第4週は、ゆっくりと「役に立つ」とは何かを人との繋がりの中で理解し、その方法が「天気予報」である事をはっきり確信した週であった。

まるでゆっくりと雲が流れ天気が変わるように、モネの心情も晴れやかになったのだった。

 

【過去記事】

mizomone7118.hatenablog.jp

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