あなたの心の「色」は??2021.2.1
先日(下書きで温めていて年を越してしまった...(笑))『荒ぶる季節の乙女どもよ。』というドラマが最終回を迎えた。
このドラマは「性」に翻弄される女子高生の日常を描いた物語だ。
主要な人物は「文芸部」という部活のメンバー5人。
なかなかの曲者集団で、学校では厄介者扱いされている。
そんな5人は文字通り、文学を愛しており、一方で「性的なもの」を忌避していた。
ある日、性行為を表す「SEX」という言葉が話題に挙がり、物語は始まる。
今回話題に挙げるのはその物語の最終回でのあるやり取りである。
ある生徒が妊娠したことに、学校は怒り心頭で、彼女を退学させ、生徒全員に男女交際を禁じることになる(随分、横暴だが)
そんな折、「性」を酷く忌避していた文芸部の部長も、ある男子生徒と交際していた。文芸部は部長を守るため、学校に立てこもることになる。
このまま学校と「戦う」か、それとも「話し合う」か、各々が悩む中、
人質にとられていた顧問の教師がある提案を行うのだ。
「色鬼をしましょう。」
色鬼とは、鬼となる人が色を一つ宣言し、その色のものに触っていれば鬼には捕まらず触っていない人は鬼に捕まってしまうというルールの鬼ごっこっだ。
彼は色鬼を行う理由も続ける。
「色には主観と客観が曖昧なところがある。だから各々が自らの視点で色を判断しなければならない。その中で自然と自らを晒しあうことになるから話し合いと同じ効果があるんじゃないか?一応、戦いでもあるし」
「色」
確かに不確実なものだ。例えば、信号機。色自体は緑なのに、皆、青と呼ぶ。青も緑も、同じようなものを集め、「青!!」「緑!!」と名付けたに過ぎない。
青と緑の区別が曖昧になるのも何もおかしい事ではない。
主人公の和紗は、幼馴染の泉と気まずい関係にあった。
互いに、それぞれの好意に気づき、交際に至ったのだが、「性」を意識しすぎて、お互いに気まずい状態になってしまった。
そんな二人も先生の提案した色鬼の中で、心を開放していく。
宵闇どきに、校舎の廊下で対峙する二人。
和紗はずっと辺りが良く見えない暗いところにいる気がしていた。
そこに月の光が差し込む。
その瞬間、自分たちが暗がりにいたのではなく、青の中にいたと気づくのだ。
「この色が欲しい」「この色だ」
二人とも、同じ色を求めた。
その瞬間、いろんなモヤモヤが溢れ出す。
「これからもずっといたいから、あんまり急いで変な感じになるのが嫌」
「好きだしかっこいい、かわいいと思うけど、性欲とかとイコールにならない。」
そうやってモヤモヤを全て吐き出し終わると、和紗はこう呟くのだ。
「これから何度も不安になると思う。でも泉とおんなじ気持ちとおんなじ言葉私はちゃんと持ってるんだって分かったから、不安になっても、それを思い出せばきっと大丈夫」
そしてドラマの最後。カラフルな沢山の色のペンキをぶちまける文芸部。
青というより真っ白
白と言えば純潔の白。穢れがなく心が清らかなさま
異性との性的な交わりがなく心身が清らかなこと
ウェディングドレスが白なのは、あなた色に染まるためとか言う。
これからいろんなことを知ったら私たちどんどん汚れていくのかしら?
そうは思わない。
校舎を牛耳ってた青が、白い光に照らされたら、色だらけになった。
これだけの色が青の下に眠ってた。
染まっていくのでも、汚されるのでもない。新しい気持ちに照らされると自分でも気づいてなかった自分が元々持っていた色がどんどん浮かび上がってくるんだ。
こんなセリフでこのドラマは終幕する。
このドラマは「性」に翻弄されるドラマであったが、「色」という点で、とても考えさせられるところがあった。
主人公たちの心に靄が立ち込めていた時に、行われた色鬼。
赤... 青... 黄....
彼女たちが求めた色は、そんな簡素なラベルで表される色ではなかった。
現代社会では、常に「自分は何者か?」と問われ続ける。
それは自分の心の「色」を聞かれているのと同じだと思う。
だが、日々変わり続け、自分でも表しきれない心の内を、簡単に表せるはずがない。
赤も、青も、緑も、黄色も、白も、黒も、月の光の色も、太陽の色でも、青春の青でも、時によって場所によって、気分によって色んな色が湧き出ては溶け混ざり合って、
「心」になっている。
そして、何かを感じる度に、新しい色が心の内から滲み出す。
このドラマの主題歌。三阪咲さんの「友よ恋よ」
この主題歌もドラマにぴったりだった。
なんとなくで 動き出した世界 友も恋も 傷つきたくないの
惨めな感情に さよならできたら
「あなたの心の色を教えて?」
ヘタクソでいい
物語終盤、色鬼を通じて、自らの思いを晒し合った主人公たち。
色鬼を教えた先生が言ったように、色は曖昧だからこそ、心情がダイレクトに反映される。
だから、自分が好きだと思う色、それが互いに一致すれば、その二人の心も重なり合うのではないだろうか。
そして、違っていたとしても、その互いの色が混ざり合って新たな色が生まれていくのではないだろうか。
今回、このドラマで感じたのは、「色」は、ただの指示語ではないという事だ。
自分の心の矛盾も、やり切れない思いも、モヤモヤも、全て「心はカラフルだから!これでいい!!」と正当化することが出来る。
そして互いに「この色好きだ!!」と思えれば、それだけで通じ合う事ができる。
そんな風に、好きなもの、嫌いなものを伝え合って、自分の心のキャンバスを色鮮やかに彩りたいものだ。
では、今日はこの辺で。したっけー!!